8. 比誘電率

誘電率とは、ある物質内において、電荷とそれによって与えられる力との関係を示す係数です。物質はそれぞれ固有の誘電率を有しており、この値は外部から電界を与えたときに、物質中の原子(あるいは分子)がどのように応答するかで決定されます。つまり、どのような誘電分極が発生するかで誘電率が決まるわけです。物質の誘電率εと真空の誘電率の比であるkεを比誘電率と呼びます。この比誘電率は、温度tと周波数fによって変化します。また、比誘電率を複素数で表現するとという関係が成り立ち、誘電損失の損失角δが求まります。

固体
物質 温度t(℃) 周波数f(Hz) 比誘電率kε

パラフィン

20

2.2

2

アンバー

20

2.8~2.6

2~90

溶融石英

20~150

3.8

10~1

25

332

水晶(軸)

20

4.5

KCl

20

4.8

5~1

ダイヤモンド

20

500~3000

5.68

NaCl

25

5.9

2

ステアタイト

20

6

2~20

蛍石

20

6.8

鉛ガラス

20

6.9

17~13

雲母

20~100

7.0

10~2

ソーダガラス

20

7.5

100~80

アルミナ

20~100

8.5

20~5

ゴム(シリコーン)

20

8.6~8.5

50~10

サファイヤ(軸)

20

9.4

2

液体
比誘電率kε

液体ヘリウム

4.19K

1.048

 

液体水素

20.4K

1.23

-280

液体窒素

70K

1.45

-200

液体酸素

80K

1.51

-160

液体アルゴン

82K

1.53

-220

四塩化炭素

20

2.24

-90

ベンゼン

20

2.284

-85

トルエン

20

2.39

-100

二硫化炭素

20

2.64

-100

アセトン

25

20.7

-470

エチルアルコール

25

24.3

 

メチルアルコール

25

32.6

-600

ニトロベンゼン

25

34.8

-520

※1 水の比誘電率kεは、t(℃)の場合に、で記述できます。

※2 温度tの列内のKは、絶対温度(ケルビン)を表します。

気体
物質(1atm) 温度t(℃)

アルゴン

20

5.17

アンモニア

1

71

エチルアルコール

100

78

酸素

20

4.94

水素

0

2.72

水蒸気

100

60

窒素

20

5.47

二酸化炭素

20

9.22

二酸化硫黄

22

82

二硫化炭素

29

29.0

ヘリウム

0

0.7

ベンゼン

100

32.7

メチルアルコール

100

57