28. 過渡現象

電気回路において、ある定常状態から変化して別の定常状態で安定するまでの間の電気現象を過渡現象と呼びます。以下に、RC直列回路とRL直列回路の過渡現象について説明します。

RC直列回路の過渡現象

下記のようなRCの直列回路において、スイッチがS2からS1に切り替わり、直流電圧源E[V]が抵抗R[Ω]を通してキャパシタC[F]を充電する場合、 充電電流I[A]とキャパシタCの端子間電圧Vc[V]は以下の式で表現できます。

切り替わった直後はキャパシタに充電されておらず、大きな充電電流が流れキャパシタに電荷が供給されます。 キャパシタが充電されるにしたがいVcが上昇し、抵抗R間の電圧差が小さくなり充電電流は減少していきます。 ここで、CRは時定数と呼ばれます。経過時間の時点では、Vcは最終電圧Eのの電圧まで上昇しています。 これは、時定数が、容量性の負荷を駆動する場合のスイッチング時間の良い指標となることを示しています。 なお、スイッチをS2に切り替えた場合の、放電電流と放電時のVcは以下の式で表されます。 キャパシタの端子間電圧は徐々に減少し、放電電流は充電電流とは逆向きに流れます。

RL直列回路の過渡現象

下記のようなRLの直列回路において、スイッチをS2からS1に切り替え、直流電圧源E[V]から抵抗R[Ω]とインダクタンスL[H]を介して電流が流れる際、電流I[A]は次式で表現できます。

スイッチを切り替えた当初、急激な電流変化に対してインダクタンスLはハイ・インピーダンスとなるため流れる電流は少ない状態が続きます。その後、電流は徐々に増加し、最終的にはI=E/Rに達します。 ここで時定数はL/Rで与えられ、経過時間の時点では、最終電流I=E/Rにを乗じた値の電流が流れています。なお、スイッチをS2に切り替えた場合、 インダクタンスLに蓄えられた電磁エネルギーの放電電流は次式で表現されます。インダクタンスの電流減少による磁束の変化により、 インダクタンスに起電力が生じ、定常状態で流れていた方向に電流が流れ続け、電磁エネルギーの放出とともに電流は減少します。