54. メモリの種類と特長
一口にメモリと言っても、さまざまな種類があります。
その中から、アプリケーションに最適なメモリを選択しなければなりません。
ここではメモリを大きくROMとRAM,フラッシュ・メモリの3つの分類し、
それぞれの利害得失を解説します。
メモリ | 特長 |
---|---|
ROM |
読み出し専用メモリです。不揮発性メモリとも呼ばれ、電源の供給を絶っても書き込んだデータは消えません。そのため、書き換える必要のないプログラムや、データの格納に使われています。ROMは大きく2つに分類できます。一方は、製造工程でマスクを使ってデータを書き込むマスクROMで、もう一方はユーザーが手元でデータを書き込めるPROM(Programmable ROM)です。さらにPROMは、書き換えが可能なEPROM(Erasable PROM)と、書き換えができない(一度だけしか書き込めない)OTP(One Time PROM)とに分けられます。かつて、EPROMは紫外線で消去してから書き込むUVEPROMが主流でしたが、最近では電気的な消去や書き込みが可能なEEPROMが一般的です。なおEPROMは未完成のプログラムの格納などに使われています。 |
RAM |
電源の供給を絶つと、書き込まれたデータが消失してしまうメモリです。揮発性メモリとも呼ばれ、プログラムやデータを一時的に格納する用途に使われています。RAMは大きく2つに分類できます。SRAM(Static RAM)とDRAM(Dynamic RAM)です。SRAMは、電源を供給しておけばデータを保持可能なフリップフロップ回路を使ったセル構造を採用しています。一方のDRAMのセル構造はキャパシタに電荷を蓄えることでデータを保持するキャパシタ型です。このため定期的にリフレッシュ信号を与えないとデータが失われてしまいます。SRAMのメリットとしては、制御が容易なことや、読み出し/書き込み動作が高速なことなどが挙げられます。しかし一方で、セル面積が大きいため大容量化に適さないなどのデメリットがあります。DRAMは、セル面積が小さいため大容量化に向いていますが、リフレッシュ動作が不可欠なため、制御が複雑になるという欠点があります。現在、次世代のRAMとして、磁気抵抗メモリ(MRAM:Magnetoresistive RAM)や、相変化メモリ(Phase Change RAM)、抵抗変化メモリ(RRAM:Resistive RAM)などの開発が進んでいます。 |
フラッシュ・メモリ |
EEPROMの一種です。1バイトごとの書き換えではなく、ブロック単位で消去や書き込みが可能です。基本的にはROMに分類されることが多いですが、場合によってはROMとRAMの中間的なメモリとして扱われることもあります。セル構造によって、NOR型とNAND型の大きく2つに分けられます。NOR型は、データ保持の信頼性が高いため誤り訂正などの処理が不要で、さらにビット単位の書き込みが可能というメリットがあります。しかし、消去速度が遅いため高速動作に適さないことや、セル面積が大きいため大容量化が難しいなどの欠点があります。主な用途としては、携帯電話機などのプログラム格納が挙げられます。一方のNAND型は、セル面積が小さいため大容量化に向いています。このため携帯型音楽プレーヤや携帯電話機などにおいて、データを格納する用途で使われています。 |