74. コネクタの種類と規格

コネクタとは、電気ケーブルや光ファイバ・ケーブルの接続に使用する機構部品です。
用途によってさまざまな種類があります。
ここでは、コンピュータ用、通信用、音声・映像用、電源用、同軸ケーブル用に分けて、
それぞれのコネクタの特長を説明します。

コネクタの種類 説明
コンピュータ用コネクタ

USBコネクタ

シリアル・バス規格である「USB」に対応したコネクタ。

IEEE 1394コネクタ

AV機器やコンピュータを接続する高速シリアル・バス規格である「IEEE1394」に対応したコネクタ。 IEEE1394は、同時に64台の機器を同一ネットワークに接続できるという特長があり、伝送速度は100Mビット/秒、200Mビット/秒、400Mビット/秒、800Mビット/秒、3.2Gビット/秒といった仕様が策定されています。

D-Subコネクタ

コンピュータとその周辺機器を接続するコネクタの規格。D-SubとはD-subminiatureの略です。 ピン数の違いによって複数の種類があります。具体的には、9ピンや15ピン、25ピン、50ピン、68ピンなどです。それぞれ用途が異なります。

リボン・コネクタ
(アンフェノール型コネクタ)

SCSIで使われているコネクタ。正式にはブルー・リボン・コネクタと呼びます。アンフェノールは、米国のコネクタ・メーカであるAmphenol社の企業名がコネクタの名称に転じたものです。パソコンでは、プリンタと接続用に36ピン、SCSIの接続用に50ピンのコネクタが使われています。

エッジ・コネクタ

プリント基板の一部を利用したコネクタ。プリント基板の端部に、ソケットに挿し込む接点を設けたものです。

PS/2コネクタ

パソコンで使われるコネクタ規格の一つ。名称は米IBM社のパソコン「PS/2」に採用されたことに由来します。 コネクタの形状は、ミニDIN6Pコネクタです。現在では、キーボードとマウスの接続に使われているだけで、そのほかのハードウエアの接続にはほとんど採用されていません。

DINコネクタ

ドイツ規格協会(DIN)で標準化されたコネクタ。ピン数は主に2~8ピンで、コンピュータ用途ではキーボードやディスプレイの接続に使われています。

通信用コネクタ

RJ-11コネクタ

RJは、Registered Jackの略で、通信用コネクタ規格の一つです。米連邦通信委員会(FCC)によって策定されました。RJ-11は、一般的な電話回線に用いられる6芯のモジュラ式コネクタです。モジュラー・ジャックとも呼ばれます。

RJ-45コネクタ

EthernetケーブルやISDN回線などの接続で使われる8芯のモジュラ式コネクタ。

MTコネクタ

多芯の光ファイバを一括して接続できる光コネクタ。MTはMechanically Transferableの略です。

MPOコネクタ

多芯の光ファイバを一括して接続できる光コネクタで、MTコネクタをプッシュプル方式の嵌合機構を設けたハウジングに収めたものです。MPOはMulti-fiber Push-onの略です。

RS-232Cコネクタ

パソコン同士や、パソコンとその周辺装置を接続する用途に向けたコネクタ。端子の形状は、D-Subの9ピン、もしくはD-Subの25ピンです。

V.35コネクタ

ITU-Tで勧告された、伝送速度が48Kビット/秒の広帯域モデム規格「V.35」に対応したコネクタ。WANに接続するルーターなどで使われています。

音声・映像用コネクタ

フォーン・プラグ

オーディオ(音響)機器で広く普及している端子の名称です。プラグの直径は2.5mmと3.5mm、6.5mmの3種類が用意されており、それぞれモノラル用とステレオ用があります。 一般に直径が6.5mmのプラグを「標準プラグ」、3.5mmのプラグを「ミニプラグ」、2.5mmのプラグを「ミニミニプラグ」と呼びことが多いようです。 なお、対応するメス端子はジャックと呼びます。

RCAコネクタ

オーディオ機器やビデオ機器に向けたコネクタ。RCAは、このコネクタを開発した米RCA社の企業名です。 2線の同軸ケーブルに対応しており、中心導体とその周囲の円形導体で接続します。通常、映像信号( コンポジット信号)用のコネクタが黄、音声信号の左チャネルが白、右チャネルが赤と決められています。

丸形DINコネクタ

ドイツ規格協会(DIN)で標準化されたコネクタ。電子楽器のMIDI信号やオーディオ機器のステレオ信号などの接続に5ピンのコネクタが使われています。

ミニDINコネクタ

ドイツ規格協会(DIN)で標準化されたコネクタ。映像信号のS端子用に4ピンのコネクタが使われています。

XLRタイプ・コネクタ

米ITT-Cannon社(現在はITT社)が開発したコネクタ。キャノン・コネクタとも呼びます。業務用オーディオ機器で用いられており、 特にマイクロホンなどの平衡回路の接続で標準的に使われています。

電源用コネクタ

AC電源用コネクタ

商用電源(交流100V)を電子機器に接続するコネクタ。

DC電源用コネクタ

商用電源からACアダプタで降圧した直流(DC)電力を機器に接続するコネクタ。メーカによって極性や外形寸法が異なり、 ユーザーが混同して使用し機器を起こすケースが多いことを受けて、EIAJ(現在はJEITA)が規格化しました。中心電極がプラス極、外周電極がマイナス極で、電圧によって外形寸法を変えることで誤接続を防ぐ構造を採用しています。

同軸コネクタ

BNC型コネクタ

主に高周波信号の伝送に向けた同軸ケーブル用コネクタ。BNCは、一般的にはBayonet Neill Concelmanの略ですが、BabyseriesN Connectorなどの諸説があります。 特長としては、周波数特性が良好なことと、小型なことが挙げられます。さらに、ねじを使わずに、簡単にロックできる嵌合機構を備えています。直径が大きい同軸ケーブルには不向きで、適合する同軸ケーブルの径は1.5D~5Dです。特性インピーダンスは標準50Ωですが、75Ωの品種もあります。

M型コネクタ

アマチュア無線に対応した通信機器に古くから使われている同軸ケーブル用コネクタ。構造が単純なため、コストが低いことが特長です。 ただし、特性インピーダンスが規定されておらず、高周波用途では使えないケースが多いようです。 通常は、VHF帯以下の周波数帯域で使われています。高級品として特性インピーダンスを50Ωに規定した製品もあります。

N型コネクタ

無線通信機器で主に使われている同軸ケーブル用コネクタ。周波数特性が良く、主にUHF帯に用いられている。 特性インピーダンスは一般的に50Ωに設定されていますが、品種によっては75Ωに設定されている場合もあります。 N型コネクタを小型化した品種がBNC型コネクタです。

TNC型コネクタ

BNC型コネクタの嵌合機構をねじ方式に変更した同軸ケーブル用コネクタです。N型コネクタに比べて小型で、SMA型コネクタに比べて取り扱いが容易という特長を備えています。

F型コネクタ

テレビ用同軸アンテナ線の接続に向けたコネクタです。特性インピーダンスは75Ωに設定されています。 ねじ方式の嵌合機構を適用した品種をF型コネクタ、嵌合機構を適用していない品種をストレート・プラグ、もしくはクイック・プラグと区別して呼ぶ場合があります。

SMA型コネクタ

マイクロ波帯に対応した無線通信機器で主に使われている同軸ケーブル用コネクタ。特性インピーダンスは50Ωに設定されています。 ねじ方式の嵌合機構を最小しており、固定する際には専用のトルク・レンチが必要になります。