75. EMC対策部品の種類と特長
EMC対策部品の効果と特長をまとめました。
デリットとデメリットを把握し、適切な対策部品の選択にお役立てください。
使用対策部品 | 効果 | メリット | デメリット | 等価回路 |
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ダンピング抵抗 |
信号ラインに数十Ωの抵抗を挿入することで、信号の反射やオーバーシュート、アンダーシュートといった高周波成分を抑えることができます。 |
比較的低いコストで雑音対策を打てます。さらに、抵抗の外形寸法は小さいため、プリント基板上のさまざまな場所に容易に適用できます。 |
一般的な抵抗であるため、信号の基本波成分に対する減衰が避けられません。 このため信号の立ち上がりや降下が緩やかになり、信号の遅延時間が長くなってしまいます。 |
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フェライト・ビーズ |
高周波帯域でインピーダンスが高くなるフェライト材料の特性を生かした雑音対策部品です。 |
外形寸法が小さく、コストが低いことに加えて、グラウンド面に接続する必要がないため比較的簡単に適用できます。 |
インピーダンスの周波数変化が急峻でないため、信号の基本波と雑音の周波数が近接している場合は、基本波成分の減衰が大きくなってしまいます。 |
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3端子コンデンサ |
コンデンサのフィルタ効果によって、信号の高周波成分のみをグラウンド面に逃がすことで、雑音を低減する部品です。 2端子コンデンサに比べて、等価直列インダクタンス(ESL)が小さいため、高周波帯域で高い雑音抑制効果が得られます。 |
外形寸法が小さく、コストが低いため、比較的簡単に利用できます。 一般に、フェライト・ビーズに比べると、高い雑音抑制効果が得られます。 |
グラウンド面に雑音成分を逃がすため、フライト・ビーズに比べると端子を1つ余分に用意する必要があります。さらに、雑音成分が流入するグラウンド面のインピーダンスを極力低く抑える工夫が必要になります。 |
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EMIフィルタ |
インダクタとコンデンサを組み合わせることで実現したフィルタ回路を使った雑音対策部品です。 インダクタとコンデンサの接続形態によって、T型やL型、π型などの種類があります。 |
フェライト・ビーズや3端子コンデンサに比べて、インピーダンスの周波数変化が急峻という特長があります。 このため信号の基本波と雑音成分の周波数が近接していても、基本波に大きな影響を与えずに、雑音成分だけを抑制できます。 |
グラウンド面に雑音成分を逃がすため、グラウンド面のインピーダンスを極力低く抑える工夫が必要になります。 さらに、フェライト・ビーズや3端子コンデンサに比べると、価格が高くなります。 |
T型フィルタ ![]() |
コモンモード・ |
磁性体からなる1つのコアに、2つの巻線を施した構造の雑音対策部品です。 それぞれの巻線は、それらによって発生する磁束が相殺される向きに巻かれているため、同相(コモンモード)の雑音成分を抑制する効果があります。 |
フェライト・ビーズや3端子コンデンサ、EMIフィルタは、ノーマルモードの雑音成分にしか効果が発揮できませんが、雑音対策部品の中では唯一、コモンモードに対して効果があります。 |
価格は比較的高くなります。 |
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