91.国際的および世界各国の規格/標準化団体

標準規格には、国際的な団体や機関で定めたものと、世界各国で定めたものがあります。
世界各国の標準規格の多くは、国際的な団体や機関で定めたものをそのまま適用するケースが多いようです。

国や地域

規格略称 規格/標準化団体名
(規格名)
活動内容 ホームページ

国際

ISO

International
Organization for
Standardization
(国際標準化機構)

世界各国の代表的な標準化機関から構成された国際標準化機関です。1947年に発足しました。 国家間の製品やサービスの交換/流通を支援するため、標準化活動の発展を促進することに加えて、 知的活動、科学的活動、技術的活動、経済的活動における国家間協力を発展させることを目的に、 電気および電子の技術分野を除く全産業分野(鉱工業、農業、医薬品など)に関する国際規格の策定に取り組んでいます。

http://www.iso.org/
iso/home.htm

IEC

International
Electrotechnical
Commission
(国際電気標準会議)

電気および電子の技術分野に向けた国際規格の策定を目的に,1906年に発足した国際標準化機関です。 世界各国の代表的な標準化機関が参加しています。標準化の対象となるのは,電気および電子の技術分野におけるすべての問題です。 さらに規格適合性評価といった関連事項に関する国際協力の促進にも取り組んでいます。

http://www.iec.ch/

ITU

International
Telecommunication Union
(国際電気通信連合)

世界全体の電気通信に関する標準化や規制、国際間調整などを担当する国際連合の専門機関です。 1865年に発足しました。現在,組織は,無線通信部門(ITU-R)と電気通信標準化部門(ITU-T)、 電気通信開発部門(ITU-D)という三つの部門から構成されています。

http://www.itu.int/
net/home/index.aspx

日本

JIS

Japanese Industrial
Standards
(日本工業規格)

日本国内の工業製品に関する標準規格や評価/測定方法などを定める国家規格策定団体です。 JISによって策定される標準規格は,工業標準化法に基づいて日本工業標準調査会(JISC:Japanese Industrial Standards Committee)の答申を受けて主務大臣が制定します。 策定する標準規格の対象範囲は幅広く,自動車や家電機器といった工業製品に加えて, 文字コードなどの情報処理関連も対象分野です。

http://www.jisc.go.jp/

PSE

Product Safety
Electrical Appliance &Material
(電気用品安全法)

電気用品安全法は,従来の電気用品取締法(通称:電取法)の代わりとして, 2001年4月1日に施行された法律です。改正内容としては、製造事業者や輸入事業者の手続きが緩和された一方、違反した場合の罰則が強化されたり、 販売事業者に新たな義務が加えられたりしています。改正された要因の一つとして、 輸入業者や諸外国メーカなどからの電取法に対する批判が挙げられます。電取法の手続きは煩雑で, 特に海外では指定検査機関が非常に限られていました。電気用品安全法では、この状況を緩和しながら, 製品の安全を水際で確保するように改正されました。

http://www.meti.go.jp/
policy/consumer/seian/denan/

中国

GB

(中国国家標準)

中華人民共和国規格協会(CSBTS:China State Bureau of Technical Supervision)が策定する中国の国家規格。日本のJIS規格に相当します。CSBTSは中国国家標準化管理委員会(SAC:Standardization Administration of China)の一部門です。GB規格には、強制力の観点から「強制国家標準(GB規格)」と「推薦国家標準(GB/T)」の2つに分けられます。多くは推薦国家標準ですが、健康や安全、環境保護、省エネ、消費者利益の保護などに関する重要な標準規格については、基本的に強制国家標準になっています。このほか、「国家標準化指導性技術文書(GB/Z)」もあります。

http://www.sac.gov.cn/
(SACのホームページ)

China Compulsory
Certification
(CCC認証制度)

中国は2001年12月、WTO(世界貿易機関)正式加盟に伴い、中国電気機器適合性認証委員会(CCEE:China Commission for Conformity Certification of ElectricalEquipment)と中国輸出入商品検験検疫機関(CCIB:China Commodity InspectionBureau)の認証制度を統一し、中国強制認証(CCC:China Compulsory Certification)制度を2002年5月から新たに実施しました。さらに2003年5月1日から、新しい認証マークおよび認証書を取得していない製品の出荷、輸入、販売を禁止しました。

韓国

KS

Korean Industrial
Standards
(韓国産業規格)

KS規格は韓国の国家規格で,韓国知識経済部技術標準院(Ministry of KnowledgeEconomy, Korean Agency for Technology and Standards)が制定するものです。 日本のJIS規格に相当します。

http://www.ksa.or.kr/eng/

欧州

EN

European Norm
(欧州規格)

EN規格は,欧州統一規格と訳されており,欧州地域におけるEU(欧州連合)の加盟国間での貿易の円滑化と,産業水準の統一を推進するために制定されました。EN規格の具体的な内容は,欧州連合の専門委員会が発行します。例えば,電気関連の標準規格については欧州電気標準化委員会 (CENELEC:Comite Europeen de NormalisationElectrotechnique)、通信関連の標準規格については欧州電気通信標準化機構 (ETSI:European Telecommunications Standards Institute)、電気と通信以外の技術分野の標準規格については欧州標準化委員会(CEN:Comite Europeen de Normalisation)が担当します。各加盟国は,自国の国家規格にEN規格を反映させ,矛盾があれば国家規格を撤廃することが義務付けられています。

http://www.cenelec.eu/
Cenelec/Homepage.htm

(CENELECのホームページ),

http://www.etsi.org/
WebSite/homepage.aspx

(ETSIのホームページ),

http://www.cen.eu/
cenorm/homepage.htm

(CENのホームページ)

CE(ConformiteEuropeenne
マーキング

CEマーキングとは,欧州連合(EU)の加盟国で販売される製品に対して表示が義務付けられている表示マークのことです。CEマーキングが施されている製品は, 「指令」と呼ばれる共通ルールに適合していることを示しており,EU域内での自由な販売・流通が保証されます。 指令にはさまざまなものがあり,具体的にはRoHS指令やWEEE指令,EMC指令,低電圧指令,機械指令などがあります。 ただし,各指令には,具体的な技術基準が明記されていないため,技術的な詳細は上項目で説明したEN規格を参照します。

http://ec.europa.eu/
environment/waste/weee/
legis_en.htm

(RoHS指令やWEEE指令に関するホームページ)

ドイツ

DIN

Deutsche Industrie
Normen
(ドイツ連邦規格)

ドイツ規格協会(Deutsches Institut fur Normung)が制定するドイツの国家規格です。日本のJIS規格に相当します。日本国内では,カー・オーディオ機器の外形寸法の標準規格として知られています。DIN規格は,英国のBS規格と並んで、欧州における標準化作業(EN規格など)や国際的な標準化作業(ISO規格など)への影響力が大きいとされています。

http://www.din.de/

英国

BS

British Standards
(英国規格)

英国規格協会(BSI:British Standards Institution)が制定する英国の国家規格です。 日本のJIS規格に相当します。BSIは,1901年に設立されました。100年を超える歴史を持つ標準化団体で, 欧州での標準化作業や国際的な標準化作業において先導的な役割を果たしています。 品質や安全性の認証表示マークは、西洋凧の形状から「カイトマーク」と呼ばれています。

http://www.bsi-global.com/

フランス

NF

Norme francaise /
フランス国家規格

フランスの国家標準化機関であるフランス規格協会(AFNOR:Association francaisede normalisation)が定めた国家規格です。日本のJIS規格に相当します。

http://www.afnor.fr/portail.asp

米国

ANSI

American National
Standards Institute
(米国規格協会)

工業分野において米国の代表的な標準化団体であるANSIが制定する国家規格。 ANSIは1918年に設立されました。ANSI自体は,規格を策定せずに,約100に達する専門機関や関連団体が作成した規格を承認してANSI規格とします。 ただし,MIL(MilitaryStandard)規格などの米国官庁が策定した規格は,ANSI規格に含まれません。

http://www.ansi.org/

UL

Underwriter’s
Laboratolies
Incorporated
(米国保険業者安全試験所)

米国の民間団体である米国保険業者安全試験所(UL :Underwriter’s LaboratoliesIncorporated)が策定した安全規格。この規格の約70%をANSIが承認し,米国の国家規格に適用されています。ULは1984年に設立された非営利団体で,設立当時は保険業界の事故原因調査に主に取り組んでいましたが,現在では市場に投入されている材料や機器、システムなどの製品が人間に危害を与えるかどうかを調査,研究,試験し,こうした製品に対する安全規格を作成したり、それらの情報を一般公開しています。さらに規格に適合した製品などに,その旨を示すラベルを貼ったり,証明書を発行する業務を行っています。

http://www.ul.com/
(米国保険業者安全試験所のホームページ),

http://uljapan.co.jp/index.html
(日本語版)

FCC

Federal
Communications
Commission
(米国連邦通信委員会)

1934年に通信法によって設立された米国政府の独立機関。ラジオ放送やテレビ放送,有線通信,衛星通信,ケーブル・テレビといった米国内,もしくは国際的な通信に対して規格を策定し,管理しています。

http://www.fcc.gov/

IEEE

The Institute of
Electrical and
Electronics Engineers,
Inc.
(米国電気電子学会)

IEEEは、1963年に米国電気学会(AIEE:American Institute of Electrical Engineers)と米国無線学会(IRE: Institute of Radio Engineers)が合併し設立された電気・電子技術に関する世界最大の学会です。電気・電子技術に関する学会の開催や,論文誌の発行,技術標準規格の策定などを行っています。コンピュータ技術の分野では,LANやWANなどの標準規格を定めた「IEEE 802シリーズ」が有名です。

http://www.ieee.org/portal/site

MIL

Military Standard
(米国国防総省)

米国国防総省の制定した調達規格。さまざまな品目に対して標準規格が規定されています。軍隊が使用する物資に向けた規格であるため,防水性や防塵性が求められる屋外での使用や,高温下や低温下といった過酷な環境での使用を想定して規格が定められています。このため民生用製品に向けた規格と比べると,高い性能が求められます。

http://www.dsp.dla.mil/

ASTM

American Society for
Testing and Materials
(米国材料試験協会)

鉄道用レールの製造に向けた鋼(はがね)の規格を1989年に制定したことをきっかけに活動を開始した非営利の民間規格策定団体。 主に工業用材料規格と試験法規格からなりASTM規格を策定し発行しています。

http://www.astm.org/

SAE

Society of Automotive
Engineers
(米国自動車技術者協会)

自動車関連分野の技術者団体として1905年に設立された非営利団体が制定した標準規格。SAEの活動内容としては、自動車分野や航空宇宙分野に関連する標準規格の策定、専門家会議の開催、書籍や雑誌の出版、数学や化学、工学の発展促進に向けや教育活動などがあります。

http://www.sae.org/servlets/index

NEMA

National Electrical
Manufacturers
Association
(米国電機工業会)

NEMAは、電気製品に向けた標準規格を策定する団体。1926年に設立されました。

http://www.nema.org/

カナダ

CSA

Canadian Standards
Association
(カナダ規格協会)

1919年に設立された非営利団体であるカナダ規格協会が策定した標準規格。カナダ各州の法律では、公共の電力網に接続されている電気機器は、火災や感電などに関する安全性を定めたCSA規格に適合していることが義務付けられています。

http://www.csa.ca/Default.asp?
language=english