新製品のご紹介
ロームは、距離測定・空間認識用 LiDAR(ライダー)*1を搭載する産業機器分野の
AGV*2(無人搬送車)やサービスロボット、民生機器分野のロボット掃除機などに向けて、
高出力半導体レーザーダイオード「RLD90QZW3」を開発しました。
「RLD90QZW3」は、3D ToFシステム*3を用いて距離測定や空間認識を行うLiDAR向けに
開発された、赤外75W高出力レーザーダイオードです。
独自の素子開発技術を駆使し、出力同等のレーザーダイオードとして業界最小の発光幅225µmを達成。
一般品の290µmに比べて22%狭発光幅化したことで、高いビーム性能を実現しました。
同時に、発光強度の均一化とレーザー波長の低い温度依存性により、安定して高い
性能を発揮できるため、さまざまな環境でLiDARの長距離対応・高精度化に貢献します。
加えて、狭発光幅と背反になる電力光変換効率も一般品と同等の
効率21%(順方向電流24A、75W出力時)を実現しており、消費電力の増加を
気にすることなく採用することができます。
また、新製品の評価・導入に必要となる駆動回路の設計手法を記載した
アプリケーションノートや、回路・光学シミュレーション用モデルなど、豊富な
設計データをローム公式Web上に無償公開しており、素早い市場導入をサポートします。
背景
近年、ロボット掃除機やAGV、自動運転車など、動作の自動化を必要とする幅広いアプリケーションで、正確に距離測定・空間認識を行うことが
できるLiDARの採用が進んでいます。
その中で、「より遠く」まで、「より正確」に、そして「低消費電力」で情報を検知するために、光源となるレーザーダイオードの性能向上が
求められています。
ロームは、LiDARの長距離対応・高精度化に貢献できる、レーザーの狭発光幅化を実現する独自の特許技術を確立。
2019年から25W高出力レーザーダイオード「RLD90QZW5」を量産しており、民生機器分野を中心に採用が進んでいます。
今回、市場が拡大する産業機器分野への展開を目指して、75Wに高出力化したレーザーダイオード「RLD90QZW3」を開発しました。
製品の特長
1.業界最小の狭発光幅225µmを達成し、長距離対応・高精度化に貢献
新製品「RLD90QZW3」は、ロームのレーザーダイオード素子開発に関する特許技術を駆使することで、LiDAR用の75W高出力レーザーダイオード
として業界最小の狭発光幅225µmを達成。
高密度発光により高いビーム性能を実現します。
また、全発光幅において発光強度の均一化に成功していることに加えて、レーザー波長の温度依存性も0.15nm/℃と低く温度変化の影響も
受けにくいため、安定してその性能を発揮することができます。
これらを出力同等で発光幅290µm、温度依存性0.25nm/℃の一般品と比較した場合、22%の狭発光幅化を実現し、レーザー波長の温度依存性も
40%低減することができるため、LiDARの長距離対応、もしくは測定距離同等の場合はLiDARの高精度化に貢献することが可能です。
2.十分な電力光変換効率(PCE)で、消費電力増加を気にせず採用可能
新製品は、特許技術により、出力同等製品において業界最小発光幅を達成したうえで、背反となる電力光変換効率では一般品同等の
効率21%(順方向電流24A、75W出力時)を実現しています。このため、消費電力の増加を気にすることなく採用することができます。
3.豊富なドキュメント・設計データで、素早い市場導入をサポート
新製品では、評価・導入に必要となる駆動回路の設計手法を記載したアプリケーションノートや基板開発用のデータ、シミュレーション用
のモデル(SPICEモデル、Rayデータ)など、豊富な設計データをロームの公式Web上に無償公開しており、素早い市場導入をサポートします。
LiDAR向け高出力レーザーダイオードのラインアップ
| 品名 | パッケージサイズ | 絶対最大定格(Tc=25℃) | 電気的光学特性(Tc=25℃) | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| IF[A] | PO[W] | VR[V] | パルス幅[ns] | 動作温度範囲[℃] | IF条件[A] | PO[W] | VF[V] | ピーク波長[nm] | 発光幅[µm] | ||
| RLD90QZW5 |
φ5.6mm CAN | 9 | 25 | 2 | 50 | -40 ~ +85 |
9 | 25 | 14 | 905 | 70 |
| RLD90QZW3 |
30 | 90 | 27 | 75 | 16 | 225 | |||||
| ☆RLD90QZW8 |
50 | 145 | 3 | 42 | 120 | 270 | |||||
☆開発中の製品であり、使用を変更する場合があります。
ロームのセンサ光源分野への取り組み
ロームは、LEDをはじめファブリペロー型レーザーダイオードや
VCSEL*4を開発・提供しており、最近ではロボット掃除機や監視カメラ
向けToFセンサ光源などに採用されています。
同時に、さまざまな製品化の際に培った光デバイスの開発ノウハウを
活かしながら、素子の性能を最大限に引き出し、より高出力化するため
の研究開発にも取り組んできました。
ロームは、素子の開発やモジュールへの応用などにも取り組むことで、
特長あるセンサ光源製品を数多く開発しており、距離測定・空間認識
システムの高精度化に貢献しています。
用語説明
-
*1)LiDAR(ライダー)
Light Detection and Rangingの略で、ToFシステム(光源およびToFセンサやイメージセンサ)などを用いて構成され、周囲の状況をセンシングする
アプリケーションのこと。
-
*2)AGV
Automated Guided Vehicleの略称。産業用途で多く使用される自動運転車の一種で、人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる搬送車のこと。
-
*3)3D ToFシステム
ToFはTime of Flightの略称で、光源となる光の飛行時間を測ることで距離を割り出し、空間をセンシングする手法。それを用いて3D(3次元)の
空間認識・距離測定を行うシステムのこと。 -
*4)VCSEL(ビクセル)
Vertical Cavity Surface Emitting Laser(垂直共振器面発光レーザー)の略称。従来は、通信用途で採用されていたが、近年ではセンシングシステムの
発光部光源としても採用されている。
