調理と火災を高精度に判別 ADIの煙センサーでスマートビルディングを実現 後編

調理と火災を高精度に判別 ADIの煙センサーでスマートビルディングを実現 後編

数あるスマートビルディングソリューションの中で、本当に役に立つシステムはどういうものなのでしょうか?当社のアプリケーション・エンジニアがお届けするアナログ・デバイセズ社の新連載シリーズをお届けします。
前回ざっくり概要をお伝えした、最新光学センサーモジュール「ADPD188BI」の後編です。

この記事では、ADPD188BIの実際の使用例などを交え、ご紹介していきます。

評価ボード:2種類用意

最近のセンサーは、高度にインテグレーションされています。多くのセンサーは、マイコンとのインターフェースとして、SPIやI2Cといったシリアルインターフェースを用意しています。ADPD188BIも、SPIやI2Cでマイコンと接続することができます。今回ご紹介する2種類のボードも、それぞれマイコンを搭載したボードになっています。

はじめに、GUIに対応した評価ボードEVAL-ADPD188BI-S2からご紹介します。

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こちらは、STM32をメインマイコンとしたADPD188BIボードです。型番は、EVAL-ADPD188BI-S2です。付属のUSBケーブルでPCと繋ぎ、ソフトウェアApplication Wavetoolをダウンロードして使用します。

接続できると、次のような画面になります。

試しに、ドライアイスを使用した場合の波形の動きをキャプチャーしたものが下の図です。

このソフトを使った評価をすれば、煙の挙動を可視化することができます。

※ヒント:このような可視化した内容をAIで処理すると、付加価値が増しそうですね。

実際に動いている様子をみてみましょう。
こちらは、フライパンを熱した時に出る油煙を撮影してみました。

ADPD188BIを使う際には、まずはこちらのボードで様々な種類の煙を評価するのが良さそうです。

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こちらのボードは、先程のGUIとは異なり、シリアル通信でセンシングできる仕組みになっています。

TeraTermなどのターミナルソフトをご用意ください。

ADPD188BIのサイトから、ADUCIP向けのバイナリファイルが用意されています。なぜバイナリファイルかと言うと、煙検出のアルゴリズムのソースコードが有料だからです。なので、バイナリにしてあれば、細かいパラメータ調整はできないですが、煙を検出してアラームを鳴らすことができます。
こちらのほうがより実用的ではないかと思います。

さらに、こちらのボードには、ADuCM3029というアナログ・デバイセズ社のArmマイコンが搭載されています。こちらも省電力性能と演算性能を併せ持っており、今回のような評価には丁度いいマイコンです。また、ハードウェアもArduinoフォームファクタを搭載しており、非常に使いやすい構成になっています。

図のように、Arudino互換になっているので、ボードを差し込むだけで準備が整います。

とっても簡単ですね。

あとは、下記URLからHexファイルをダウンロードして、ドラッグアンドドロップで書き込むだけで煙探知器に早変わりします。
Smoke detector demo software .hex file

マイコンボードの裏には、電池ボックスもあるので、単独で動かすこともできます。

さて、こちらのボードを使った場合、シリアル通信でPCを接続して使用します。

TeraTermの設定例:

COM:接続されたPCのポート番号を選びます。
ボーレート:115200を指定します。
https://wiki.analog.com/resources/eval/user-guides/eval-adicup3029/reference_designs/demo_cn0537

こちらも、動画で実際の様子を見てみましょう。
こちらも、フライパンで油を熱した時の油煙をキャプチャーした様子です。
https://1drv.ms/v/s!AouJdvW_H94Nh6gGM0mEz7c2zvj1Aw?e=kKSlAK

実際の規格に準拠させるには、ソフトウェアや仕様を購入する必要があります。アナログ・デバイセズでは、それに準ずるソフトウェアを気軽に体験することが目的のための評価用.hexファイルをドラッグアンドドロップするだけですぐに煙センサーを動かすことができます。Windows環境でもMacやLinux環境でも実行できます。また、EVAL-CN0537-ARDZの方は、チャンバーも付属していますので、実用度はかなり高いと言えます。

まとめ

火災の煙による事故から安全を確保するためには、ADPD188BIのようなインテグレートされたセンサーを使用することで、甚大な被害を最小限に食い止めることができます。まだまだテクノロジーで安全な暮らしを支えることはできます。

ぜひ、活用してください。

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